【COLUMN】イタリアMIDOの記録と記憶
ミラノ出張を終えて
2/7~2/11にかけてイタリアミラノのアイウェア国際展示会“MIDO”に行って参りました。
MIDO展は大規模に展開される世界有数の国際アイウェア展示会で、グッチやプラダなど世界に名だたるライセンス系ブランドを扱うマンモス企業や眼鏡製作機器メーカーに光学機器メーカー、レンズメーカーなどメガネにまつわる企業が数多く軒を連ねるとても華やかな場所です。
会場はおそらく東京ドーム10個分入ります
ライティングなども凝っていてラグジュアリーなムードが漂います
世界中の眼鏡市場を牽引するメージャー企業がそこかしこに
私たちが取扱うブランドはそういった百貨店やチェーンビジネスで流通するマスマーケット商品とは違い、生産数が限定された非マスブランドになり、スタートアップブランドなどと一緒に塊を作っていました。
コンセプトショップ向きのハウスブランドがここに集合
われらがイエローズプラス
ジャングルのような空間に所狭しとブースを構え、世界中のバイヤーが品定めします。品定めといっても外国勢は再会を楽しむ場として会話することを楽しんでいるようです。商談する時間より無駄話をしている時間の方が圧倒的に長い!
我々が扱うブランドの特徴のひとつは、デザインする人間とバイヤーの距離が非常に近いという点で、意図や商品に込めた想いみたいなものをカスタマーへリアルに伝えることができます。
デザイナーとのコミュニケーションは旅の大切な目的
近年の市場はプラスチック枠がとくに人気で、太く存在感のあるデザインが隆盛です。イタリアには世界に冠たるプラスチック生地メーカー“マツケリ”があり、その美しい色やコンビネーションは他社に真似できないと言われています。そんな土壌があるため、華やかなプラスチック枠が多数見つかります。
弊社取扱いブランドの中では“FOLC”がその代表で、マツケリ社の生地を使った素晴らしいコレクションを展開していました。眼鏡製作機器のAI化に伴い、複雑なカッティングによる立体的なデザインとイタリア職人の手作業とが相まって魅力的なデザインに仕上がっていました。
トレンドカラーであるグリーンのウェリントン
ウェリントンとても気に入りました!
その他にもフランスの気鋭ブランド“AUDE HEROUARD”は少しずつ海外バイヤーにセンスが気付かれてきて、そこかしこで高い評価を聞きました。身に付けているものもとてもセンスがよく、今後の飛躍を予感させます。新しいのにどこか懐かしいデザインと繊細なカラーワークに特異性があります。
オーバルとスクエアが融合したキャッチーなモデル
インポートならではのシェイプ。珍しい縦長オーバル
オード女史は若手デザイナーの中でもピカイチの感度
ノスタルジーとモードの融合というのは昨今のアイウェアデザインの特徴になっており、日本から参戦していたイエローズプラスやユウイチトヤマなどは大きな括りで見れば近いコンセプトでモノづくりをしているのではないでしょうか。
イエローズよりブランド初となるクリップ付きモデル
海外のデザイナーは純粋にカタチや色を表現しますが、日本ブランドは“機能性”がいつも頭にあります。フィッティングやアフターまで考えられたデザインには奥深さがあり、海外の展示会では日本製のモノづくりに強いリスペクトがあります。
耐久性がアップデートされた過去モデルがベースの新作
フランスのハンドメイドブランドとして注目している“DE FONTAINE”のヤニックは日本製の蝶番をわざわざ取り寄せてモノづくりしており、高精度なパーツに絶大な信頼を置いていました。それがこちらでは付加価値にもなっているようです。ダブルブリッジの新作がとても魅力的でした。ダブルブリッジやパイロットは海外では定番のカタチなので、バイヤーの着用者もとても多いです。日本でも近年では女性にまで広がりが出てきているので、今後定番のカタチとしてさらに親しまれていくのではないでしょうか。
コアなファンが年々増加しているDE FONTAOINE
日本でも広がりを見せつつあるダブルブリッジの新作
既存の人気モデルに8mm生地バージョンが追加
ケースも自分たちで手作りするフォンテーヌ
そして世界を席巻しているのが極厚ラグジュアリーなデザインです。JAQUES MARIE MAGEの世界的な人気は衰え知らずで、アメリカ本国での直営店に続き、パリ、ロンドンと広がりを見せています。私は過去にこんなに早く世界的に知名度を上げたブランドを見たことがありません。
JMMはミラノ市街の老舗ホテルの中で展示会を行っており、新作などの情報は全てクローズドです。画像がお見せできないのが残念ですが、期待を裏切らないコレクションでした。新作の点数は圧巻で、それに加えて既存モデルの新色もかなり発表されていましたのでブランドの力は非常に強いものを感じます。最近ではこのブランドに追随する流れも出てきており、数ブランド興味を持っているブランドがありますが、それはまた別の機会に。
JMM展示会場となった老舗ホテルの窓より
弊社がすでに取扱っている“HUG”は一見その流れにいるように見えますが、彼らが目指しているゴールは大きな富では無いような気がしていて、常にデザイナーの顔が見え続け、販路もブレることがないだろうという不思議な安心感があります。私が尊敬するデザイナーの1人ドイツ人のヨハンがそんなブランドの雰囲気を作っています。写真をお願いするとピースサイン。あえての日本人仕様が彼らしいユーモアです。
お茶目な一面を見せるヨハン
既存モデルの中で女性に勧めたいモデルが多くあり、新色含めオーダーしています。ドイツクラフトマンシップが宿るクオリティーはもちろん、太厚デザインでありながら品の良さも兼ね備える通好みなブランドだと思います。
海外の展示会ではその場所でしか会えない人に会い、近況報告をするだけでも価値があります。言葉の壁があっても携帯があればなんてことはありません。私たちがセレクトしているブランドと共に成長していることをとても嬉しく感じた旅でした。
“ステップバイステップ”
デザイナーからよくこの言葉を聞きます。少しずつ成長することは持続性につながり、私たちもそうありたいと思っています。
ともに“STEP BY STEP”
入荷が楽しみでなりませんが、エンドユーザーの皆さんと世界の素晴らしいメガネの楽しさを共有し、人生の彩りとしてメガネを楽しんでいただければ幸いです。
最後にオマケの画像を。カルボナーラは好物の一つなのですが、今のところ人生ナンバー1でした。このお店は発祥の地であるローマスタイルで、もっちり太麺に焼き加減の異なるベーコンが入った絶品でした。本場特有の塩っ気が病みつきです。ミラノに行かれる機会があればぜひ。あいにく滞在中はずっと雨でしたが、ミラノの街並みはとても美しかったです。
ミラノの中心となる観光名所DUOMO
OSTERIA DA FORTUNATAのカルボナーラは絶品
宿泊先の傍には美しい公園が
市内であちこち見かける路面電車
ヨーロッパは路駐カルチャーなので小型車の需要が高い
自分は路地フェチです
以上、旅の記録でした。
漆畑