今季は、英国の老舗ブランドOLIVER GOLDSMITH(オリバーゴールドスミス)に名作“COSUL s”の別注モデルを依頼しました。素材は、OLIVER GOLDSMITHのCONSULの復刻版に限定的に用いられているセルロイドです。セルロイドは、19世紀に象牙やべっ甲の代用品として作り出された世界初の人工樹脂で、硬さと滑らかな肌触り、そして、丁寧に磨かれた事で現れるしっとりとした光沢が特徴です。しかし、可燃性のある素材のため、限られた場所でしかフレーム製造ができず、現在はほとんど使用される事がありません。
デザインを手掛けたのは、当時最先端であったプラスチック素材を使用したアイウェアが高い評価を受けていた2代目のチャールズ・オリバーゴールドスミスです。
彼がデザインしたのは、スーツスタイルに綺麗におさまり、知的で存在感のあるスクエアシルエットのフレーム。
OLIVER GOLDSMITHの“CONSUL”は、ウェリントン型の原型の一つと言っても過言ではないでしょう。発表から半世紀近く経ったいまなお色褪せることのない定番のデザインです。
スーツにタイを締め、くわえタバコでレンズを覗くマイケル・ケイン。
“スウィンギング・ロンドン”といわれる当時のロンドンのストリートカルチャーを象徴するアーティストのひとりで、1960年代、ロンドンのファッション写真界を席巻したフォトグラファー デヴィッド・ベイリーが69年に発表した写真集『GOODBYE BABY&AMEN』に“CONSUL”を着用したポートレートが収められています。
数々の映画賞を受賞し、英国王室から“Sir”の称号を贈られた名優マイケル・ケインが、1960年代、OLIVER GOLDSMITHに2本の眼鏡製作を依頼しました。 それは、スパイ映画の傑作として知られている『国際諜報局』と『ハリー・パーマーシリーズ』で着用するためのものでした。特に『ハリー・パーマーシリーズ』で使用したモデル“CONSUL” は、プライベートでも愛用するほどのお気に入りだったといわれています。
OLIVER GOLDSMITHは1950〜60年代、先鋭的なデザインと色使いで一大ムーブメントを巻き起こし、ヨーロッパにおいてファッションアイウェアの確固たる地位を築き上げました。 今回は、そんな先人達に敬意を込めクラシカルなデザインのよさをいっそう引き立てる、セルロイドでしか表現できないレトロな雰囲気に加えて、セルロイドの美しさを堪能していただけるダブルカラーや、一部に発色の良いカラーを採用するなど、これまでの“CONSUL” とは一味違ったものになっています。 OLIVER GOLDSMITHを代表する名作の新たな表情をお楽しみ下さい。